里地里山は人の働きかけにより形成された二次的自然であり,豊かな生物相(動植物)が育まれてきました.しかし,人為的関与の減少により生物多様性の劣化が生じています.
そんな里地里山の生態系ピラミッドの頂点に位置する猛禽類としてフクロウがあげられます.猛禽類は環境汚染や環境改変の影響を受けやすく,フクロウは準絶滅危惧以上に相当するとされています.
公共事業による影響が予測される場合,猛禽類の保全措置が一般的に行われています.その内容は,繁殖期に営巣地周辺の行動圏(コアエリア)で工事を行わないというものです.
代表的な猛禽類については環境省により行動圏が示され,保全措置の指針が作成されています.一方で,フクロウに関しては生態において不明な点が多く指針もありません.
フクロウの保全措置の指針を作成するためにも,繁殖期における行動圏に関する知見の集積が課題となります.
本研究では,発信型GPSトラッカーTrackimo を用いて追跡調査を行い,データを収集します.